日々のブログ

二次相続

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阪神間の皆さま、こんばんは。
公認会計士・税理士の横山です。

夜も遅いので今日もプロローグなし。

 

先日、相続税に関する遺留分減殺請求スキームの話を書きました。
それついでに、本日も頭の体操をひとつ。

相続対策を行うにあたっては、
一次相続だけではなく、二次相続についても
考慮しておかなければなりません。

簡単な例で言うと、
夫が亡くなって、妻と子供たちで財産を相続するのが
一次相続。
その次に、妻(子供にとっての母親)が亡くなって、
子が母の財産を相続するのが二次相続。

芸能人を中心として年の差婚が見られるとはいえ、
一般的には夫婦の年齢が近いであろうことを考えると、
夫が亡くなって相続税がかかり、
数年後に、夫から遺産を相続した妻が亡くなって
またまた相続税がとられ、
ということは容易に考えられます。

ですので、1回の相続だけではなく、
その次の相続までも考えて対策しましょうねという話です。

 

そこで例題を使って、頭の体操。

設例。

 

2次相続①

夫、妻、子の3人家族。

夫と妻はそれぞれ10億円の財産を持っています。
うらやましい。

この場合、夫が死亡し(第一次相続)、
次に妻が半年後に死亡(第二次相続)した場合、
第一次相続において、下記のうち、
どのパターンで財産を分けるとお得でしょうか?

 

① 法定相続分(1/2ずつ)で妻と子が相続する。

② 妻のみ相続し、配偶者控除を使う。

③ 妻のみ相続し、配偶者控除を使わない。

④ 子のみ相続する。

 

配偶者控除は、配偶者の税額軽減の特例
【相続税法19条の2】のことで、
配偶者が法定相続分通りの1/2を相続した時や、
相続財産が1億6千万円までなら
相続税をゼロにしてあげるというものですね。

そんな特例があるならそら使うでしょ!
と思いますよね。

たしかに、一次相続だけを考えれば、
それがお得です。

でも二次相続まで考えると、
そうではないんですよ、
という結論が下記の通り。

 

2次相続②

 

正解は③。
一次相続では、妻が全財産を相続し、
しかも配偶者控除を使わない
が正解でした。

不思議ですね。

下記のような計算になるからです。

 

① 妻と子が法定相続分通りに相続。

<一次相続>

  • 妻、5億円を相続。
  • 配偶者控除を使って相続税0円。
  • 子、5億円を相続。
  • 5億円×50%(相続税概算)=2.5億円。

<二次相続>

  • 妻(母)はもともと10億円もっており、そこに5億円相続。
  • よって、子は15億円を相続。
  • 15億円×50%(相続税概算)=7.5億円。

<一次・二次合計>

  • 2.5億円+7.5億円=10億円

 

② 妻が100%相続し、配偶者控除を適用。

<一次相続>

  • 妻、10億円を相続。
  • 10億円×50%×1/2(配偶者控除)=2.5億円
  • 子、相続なし

<二次相続>

  • 妻(母)はもともと10億円持っており、そこに10億円相続。
  • 妻は10億円もらったけど、相続税2.5億円払ってる。
  • 10億円+10億円(相続)-2.5億円=17.5億円。
  • 子、17,5億円を相続。
  • 17.5億円×50%(相続税概算)-相次相続控除=6.25億円。

ここで、相次相続控除とは、
短期間に連続して相続が起こった場合に、
ちょっと税金をまけてくれる制度です。

10年以内に2回相続が起これば適用されます。

ここでは詳しい計算方法は省きますが、
第一次相続において妻(第二次相続の主役)が
払った相続税のいくらかが、
第二次相続において子が払う相続税より免除されます。

<一次・二次合計>

  • 2.5億円+6.25億円=8.75億円

 

③ 妻が100%相続し、配偶者控除は使わない。

<一次相続>

  • 妻、10億円を相続。
  • 妻、配偶者控除使わない。
  • 妻、10億円×50%(相続税概算)=5億円。
  • 子、相続なし。

<二次相続>

  • 妻はもともと10億円持っており、そこに10億円相続。
  • 妻は10億円もらったけど、相続税5億円払ってる。
  • 10億円+10億円(相続)-5億円=15億円
  • 子、15億円を相続。
  • 15億円×50%(相続税概算)-相次相続控除=2.5億円

相次相続控除を考慮すると、
子は妻(母)が一次相続で納めていた相続税5億円を
免除してもらっています。
詳しい説明は省きますが、設例のようにごくごく短期間で
相続が連続して起こると、
母が納めていた相続税がマルマル免除されることもあります。

<一次・二次合計>

  • 5億円+2.5億円=7.5億円

 

④ 子が100%相続する。

<一次相続>

  • 妻、相続なし。相続税0。
  • 子、10億円×50%(相続税概算)=5億円

<二次相続>

  • 妻はもともと10億円持っており、相続はしなかった。
  • 子、妻(母)の持っていた10億円を相続。
  • 10億円×50%(相続税概算)=5億円

一次相続において、母が相続税を納めていなかったため、
今回は子において相次相続控除の適用がありません。

<一次・二次合計>

  • 5億円+5億円=10億円

 

以上。

配偶者控除を使わない方が得なこともありえますよ、
ということだけ頭の片隅に置いておいて下さい。

 

『金は肥料のようなものだ。
ばらまけば役に立つが、
一箇所に積んでおくと酷い臭いがしてくる。』

(クリント・マーチソン 米国人 事業家)

 

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心だに誠の道にかなひなば、
祈らずとても神や守らん
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2015-04-17 | Posted in 日々のブログ